2006年02月19日

鼻骨骨折?頭部外傷?

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今日は日曜当番医でした。
保育園で、でんぐり返しをして、床の段差の角で鼻を打ったと、4歳の女の子が来院されました。
受傷時、意識消失はなく、嘔吐も見られなかったとのこと。
診察室では元気で、痛がっている様子もありません。
目と目の間の鼻の付け根のところが少し腫れていて、皮下出血があるようでした。
見た目上は、腫れてはいるためか、特に凹んでいるとか、横にずれているとかの形の異常を認めませんでした。
鼻出血は受傷時もその後もないということであり、又喉の奥をのぞいても、血が流れている様子はありませんでした。
骨折の可能性は低いと思いましたが、子どもの骨は柔らかく、腕など若木骨折というのがあるくらいなので、わかるかな?と思いながら、X線写真を撮りました。
私にわかるような骨折はありませんでした。
「意識がなくなったりしてないし、嘔吐もないし、鼻出血もないし、鼻水様のものも鼻から垂れてこないし、今の所、頭の心配はしなくていいと思います。
でも、お母さんが心配でしたら、病院へ紹介します。
鼻の骨折に関しては、大きなのがあるとは思いませんが、実際のところ、自分にはわかりません。
もしあったとして、今日すぐ処置をするようなのではないと思います。
今日のところは、患部を冷やして、明日、耳鼻科を受診しましょう。」とお答えしました。
(実際の言葉は、天草弁でですが。)


このように、子どもの事故では、とても気を使います。
割り箸事故>のことを思うからです。
症状が今なくても、受傷している可能性は否定できません。
大丈夫です。と自信を持って答えることはできなくなりました。
心配であれば、病院へ行き、頭部CTを撮ってもらわなければ・・・。
今日のお母さんは、「様子を見ます。」とのことで、紹介はせず、帰宅してもらいました。

木曜日の夜来られた5歳の男の子は、2段ベッドの上から飛び降りて、下にあったベビーベッドの柵に頭を打ったと来院されました。
目の横に、打った痕と思われる皮下出血がありました。
受傷時の状況は誰も見ておらず、泣き声で気がついた、その後、嘔吐などは無い、とのことでした。
診察室では、元気でしたし、瞳孔の左右差とか、手足の動きがおかしいとか、要注意サインはありませんでした。
お母さんに、検査はどうしますかと尋ねると、紹介して欲しいとのこと。
天草地域医療センターへ電話し、精密検査をお願いしました。
夜間ではありましたが、明日行きましょうと言う事はできません。
やっぱり、割り箸事故のことを思い出すからです。

頭部外傷では、受傷時の意識障害の有無が、ダメージの有無・程度を測る目安です。
あくまでも、目安です。
実際のダメージは?
すでに神経学的症状が何かあれば、ダメージありと判断できます。
目の前にいる子供が元気でおしゃべりしている状態であれば、判断できません。
経過をみるか、CTやMRIなど検査をするしかわかりません。
(検査をしても変化がまだ出ていないということだってありますけど。
インフルエンザの簡易診断検査でも、発症直後は陰性で出ることが多かったです。)

<これこれこういうときは、CT検査をしましょう。>と、頭部外傷時における診断や検査のガイドラインがあって、これさえきちんと遵守していれば、結果責任を問われない。という風にできないものでしょうか。
「意図的もしくは故意的に診断や治療を誤った」わけではなくても、結果が悪ければ責任を取らなければならない今の世情では、非常に防衛的、保守的になります。
反対に、「頭を打った子どもは全てCT検査を受けさせなさい。」と決めてもらってもいいかも。
保険医療財政の引き締めは、他のところでしてもらって、子どもの頭部外傷は、全て保険OKとしてもらえれば、紹介するのも気が楽ですし。

こんな風に書いてくると、すっごく無責任な医者に見えますね、きっと。
でも、患者さんの命を守りながら、同時に自分の身も守る必要があるんです。
保身を考えてたら、医者には向かないって?
そうかもしれません。


nkodomo at 22:36 │Comments(8)TrackBack(4)clip!病気の話 

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この記事へのコメント

1. Posted by 笑顔整体の院長    2006年02月20日 01:30
子供の事故はこわいですね。
念には念をで注意するに越したことないですね。ぽちっ
2. Posted by 耳鼻科医    2006年02月20日 08:50
子供の救急患者の場合、(これは仕方のないことなのですが)本人から適切な情報が得られないことが、一番難しいですよね。親にも一時も目を離すな、とは言えない訳ですし。
かといって、何か予期せぬトラブルがあったとき、すべて医者個人が責任を負わなくてはいけないというのでは、あまりにも過酷な話です。
3. Posted by lily    2006年02月20日 11:18
院長先生、
小児科の看板上げていますが、
子どもの事故は怖いです。
4. Posted by lily    2006年02月20日 11:24
榊原先生
はい、目を離すなというのは、自分の経験からしても、無理なんです。
起ったことを基に戻すほど、医者は万能ではないです。
テレビで、神の手を持った医者とか出てくると、同じ<医者>と思わないで!と思います。
5. Posted by りえりえ    2006年02月21日 00:19
本当に子供の怪我はドキッとします。
先日の脱臼くらいならどってことありませんが、頭を打ったり階段から落ちたり・・・本当に目が離せません。(^^;
お者様のご苦労&プレッシャーはいかばかりか・・・。
6. Posted by 若手MR    2006年02月21日 22:28
普段ドクターを訪問する上ではなかなか伺えない内容で本当に考えさせられました。自信を持って『大丈夫』ですと言えないもどかしさがあり、保身的になるお気持ちがわかる気がします。常に人の死というものに向き合いそれに対し責任を負っていると最低限の検査を行い異常がなくても万が一・・・ということがあります。やはり基準というものがあればベストですし、そういったことからも今後は病診連携というものがより重要になるのでしょうね。我々MRもそういったことを踏まえた上での情報提供を行っていかなければ・・・と非常に考えさせられました。
7. Posted by lily    2006年02月22日 09:06
りえりえさんへ

うちの子供たちも、骨折、捻挫、外傷(縫合が必要な程度の)、何でもやってます。
親がすぐ近くにいたこともあるし、子供だけで遊んでいたときのことも。
四六時中、ついて監視しているわけにもいかないし。事故は起こるもの、と最初から考えたほうがいいのかもと思います。

8. Posted by lily    2006年02月22日 09:26
若手MR 様

うちの診療所であれば、病院へ紹介するということができます。
でも、受け入れてくださる病院の先生方は大変と思います。

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